What's the SUZUKI BANDIT?

スズキが1989年に発表した、水冷4気筒エンジン搭載のネイキッドモデルの代表作である。

国内では250ccと400ccがあり、輸出専用では600、1200といった排気量も存在している。
(※2000年3月に、国内市場でも新型1200ccの販売が開始された)

レーサーレプリカブームが最高潮に達し、衰退へと切り替わる頃、「普段着でも乗れるスポーツモデルを」というニーズに応えるべく開発される。
発売当初、400ccと250ccのモデルがあり、いずれも旧GSX-R系のハイパワーユニットをデチューンして搭載したものだった。
エンジン本体を車体の一部〜強度部材として取り入れた、 既存のモデルにはない特徴的な鋼管トラスフレームとインナー径41mmの極太フロントフォークやリンク式リアショックで構成された車体は、 単にスタイリッシュであるだけにとどまらず、ネイキッドとしては高い動力性能を有し、 当時の専門誌はこぞってレプリカ的ハンドリングをもって”スポーツネイキッド”と評した。
(ちなみに、当時のメーカーの設計指針には「艶っぽい」というキーワードがあったらしい)

1991年6月、2輪市販車初の可変バルブタイミング機構を備える「VCエンジン」を搭載した「400V」がラインアップに加わる。
さらに翌1992年にはロケットカウル(ロケット状の風防)を備えた「Limited」を250、400/400Vそれぞれに設定。
まるでイタリア車の如き官能的なスタイルは、いまでも熱狂的なファンに支持されている。

1995年にはバンディットシリーズ初のフルモデルチェンジが行われたが、”スポーツネイキッド”のコンセプトは継承され、さらに洗練されたスタイリングを与えられる。
同時に、旧形では400ccにしか採用されていないVC機構を250ccにも採用し、フレームも250-400で共用部分の多かった旧型から各クラス専用設計に進化、 それぞれ専用設計とすることで、特に250ccに関しては旧型にくらべ10kg以上もの軽量化を達成し、スポーツネイキッドとしての仕上がりを高めた。

一般的にこのクラス、特に250ccのネイキッドは通勤用・初心者向けなどと位置づけられ、 ハンドリングやパワー特性もマイルドな設定になりがちだが、スズキは他メーカーとは明確に異なるアプローチをとった。


しかし、バイクブームそのものの衰退や、好みの別れるスタイリングによってバンディットの人気は下降線を辿る。
さらに、どんどん厳しくなってゆく排ガス規制が追い討ちをかける形で、1999年夏、バンディットはその生産に幕を閉じる。


ところが、2000年になって、バンディットは再びその息を吹き返す。
これまで輸出名で「バンディット」を名乗っていた、国内名「GSF1200/S」がフルモデルチェンジを機に「バンディット1200/S」を名乗ったのだ。

ショートホイールベースやクラス最軽量の車体によって、バンディットのコンセプトである「スポーツネイキッド」が見事に体現されている。

車体やエンジンにかつてのレプリカ全盛時の荒々しさを残したまま、 かくも美しいラインにまとめ上げる・・そして”美しいバイクでスポーツライディングを楽しむ”ために、 多少の犠牲もやむなしとした、初期型の設計陣に今はただ賛辞を送りたい。

旧型モデルは当時かなりの台数が販売されており、現在の中古市場でも比較的豊富な選択肢が選べるが、相対的に400ccは少なめ。
特にリミテッド(Limited)モデルは250,400両クラスともに稀少車といえる。

車体の程度によっては、あとあとかなりの出費・修理時間を要する場合もあるので 若干割高になるが新型モデルを選ぶのもよい。



inserted by FC2 system